インタビュー

お灸を通して、人々の心に火を灯して世の中を明るくしていきたい

今回は花田学園の同窓会理事も務めてくださっている越石先生にお話しをうかがいました。

橘🍊🎤:先生のこだわりなども、ぜひ教えてください。

花田学園を卒業したのは1982年です。
1982年(昭和57年)に「越石鍼灸院」を開業いたしました。

お灸治療に特化し、多壮灸・糸状灸と命名した灸法を駆使して患者様の臨床に当たっています。

橘🍊🎤:先生のお灸は世界でも注目されていますね。臨床講座でも卒業生に教えてくださいました。

また、治療院では衛生面にも配慮しています。開業当初からタオル、患者着、鍼は1人1回の使用で取り換えるなど、衛生面に配慮したクリーンな鍼灸院を目指していました。

開業してから1~2年が経過した頃、AIDSが日本でも流行し世間を騒がすようになり、周囲の鍼灸院は患者来院数が激減した様子でした。

当院は新築のマンションで清潔感があったためか、その当時も患者様が信頼して来て頂いたため、来院数が減ることはございませんでした。やはり清潔感が大事である、と確信した次第です。

橘🍊🎤:どこの治療院でも洗濯は日常業務ですね。

しかしながら、毎日の洗濯物が大変多く、干す場所にも困り、改善策を考えました。

干す場所を1番多くとるシーツだけでも何とかならないかと思案した結果、ペーパーシーツの開発に至りました。

ペーパーシーツは、複数の製紙工場を訪れ交渉した結果、ようやく一社が製造を引き受けてくれて現在に至ります。

また、治療着、タオル類は洗濯後にビニール袋に入れてパッキングし、透明棚に60枚ずつ収納して患者様が可視化できるようにいたしました。このような努力の結果、昨今のコロナ禍でも大過なく現在に至っております。

また、ペーパーシーツの購入希望者も増えてきたため、会社の名称を(有)クリンピアと改めまして、以下の業務として届け出をいたしました。

  • 越石鍼灸院  鍼灸治療を行う主軸
  • 越石灸法講習会 企画と開催
  • 販売業務 ペーパーシーツ、ホルダー、お灸バーム

お灸バームにつきましては、以前は治療に紫雲膏を使用していましたが、使用しやすいものを開発して販売しています。

橘🍊🎤:今では業界で広く使用されているシーツをいち早くご提案されていたのですね!花田学園の附属鍼灸院でも使用しています!

37歳で開業してから43年間、周囲の方々からの支えを頂きながら、全力で患者様と自分自身と向き合い日々を積み重ねてきました。

その中にお灸との出会いがあります。元副校長の安藤譲一先生に弟子入りし、お灸治療を知り、私の原因不明の病がお灸で寛解したことを経験しました。

開業して数年が経過した頃、高熱が7カ月続き、重度の倦怠感で歩行困難になりました。

クリニックに通院して服薬を2カ月、鍼灸院に通って鍼治療を2カ月毎日受けても一向に改善しませんでした。

その折、安藤先生が心配してお立ち寄りになり、灸治療をして頂いた時、一筋の光明が差しました。

家族に手伝ってもらいながら、灸治療を3カ月間毎日実践した結果、ほぼ全快に至りました。

自身で体感した経験は私の宝物となり、
それから「お灸とは何か」ということを命題に日々精進・研鑽して参りました。

その結果、灸の種類(多壮灸/糸状灸)、温度(40度前後の柔らかい温度とそれ以上のチクリとした温度)、壮数、治療頻度を駆使することにより、軽度のものから難治性のものまで、寛解に持っていかれることを知りました。

徐々にじっくりよくなる方、素早く活気的によくなる方など、様々経験しました。

このように灸治療に特化して日々コツコツと実践してきた結果、お灸こそが私の仕事、喜び、やりがい、人生として受け止められるようになりました。

終戦直後のGHQとのやり取りの件をお聞きして、当時の先生方の献身的な努力を知り、身の引き締まる思いを感じました。

しっかり目的をもって行動しようと心に決めました。

授業ではございませんが、我がクラスは中年パワーが強く、尾野先生と同年代の学生が(私を含めて)5名おりまして、いつも先生がよく話し合いに参加してくれて、クラスを良く纏めて下さっていました。

こちらも授業ではございませんが、卒業後、研修生として治療院に入れて頂き、鍼灸治療の奥深さを学びました。

特にお灸の特長を学ぶことができて、お灸との出会いとなりました。

45年前なので、鮮明には覚えておりませんが、故永井先生、福島功先生、岩田一郎先生、岩田六郎先生、影山先生、中山先生に教えて頂いたことを覚えております。

先生方は皆明るく、学生に寄り添って下さるので、学校に行くことが楽しかったです。

橘🍊🎤:私も授業を受けることができた先生方もいます!時代は移りますが長くいらっしゃる先生には感謝でいっぱいですね!

お灸治療を半世紀近く実践してきて、灸の種類、温度、壮数、治療頻度を駆使することで、様々な症状・疾病の寛解をもたらし、人の生活を明るく意味のあるものにできる力があることを知りました。

今後は私共だけではなくて、気の合う仲間と協力し合ってさらにお灸の可能性を探求していきたい気持ちが湧いてきております。

後輩の方々には、私の知り得た情報をお伝えしたく、鍼灸院にてセミナーを開催したり、外部のセミナーに出席したり、時に講演したりして、色々な方々と交流して参りたいと存じます。

お灸を通して、人々の心に火を灯して世の中を明るくしていきたいと望む次第です。

本校の魅力は、先生方が明るく前向きな方々ばかりで、学生が生き生きとしていることです。

卒業後45年経過した今でも母校に立ち寄ると、校長先生を始め、諸先生方がとても元気で、笑顔で出迎えて下さいます。

この道に進もうと決意して入学された学生にやさしく寄り添い、責任を持って指導して下さると思います。

卒業して免許を取得した折には素晴らしい貴重な技術となりますので、在校生の間には知識だけでなく、諸先生方の力を借りながら技術力と人間力を磨いて下さい。

そして一緒に研鑽を深めながら、世の中を明るく楽しいものにしていきましょう。

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