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後頸部の「見える化」研究 ― エコーとMRIでツボの深さを探ってみた!

こんにちは、鍼灸科のです。

今回は、経穴認知研究班から
「エコー装置による後頭下筋の安全刺鍼深度について」
~MRI画像および3D画像との深さの比較~

を発表された吉田先生にお話を伺います!

実はこの研究、私も被検者として協力させていただきました!

自分の身体がどう映るのか
ドキドキしながらMRIを受けたことを覚えています😊

この研究は、名古屋で行われた全日本鍼灸学会の学術大会のポスター発表です。
当日の様子については、こちらの記事でも紹介しています!

後頸部の鍼、安全に刺すには?

:今回の研究は、どんな内容なのですか?

吉田先生:はい、後頸部はよく鍼を打つ部位なのですが
深いところには重要な筋肉と共に椎骨動脈もあり
安全な刺鍼のために「どこまで刺すか」の判断
がとても大切になります。

:安全ガイドラインでは、天柱で35mmという目安がありますよね?

吉田先生:そうですね。ただ、これは一つの基準であって、
人差や操作の違いによって変わってくる可能性があります。

今回は、エコーとMRIを用いて
風池・天柱・完骨から筋肉や動脈までの距離を測ってみました。

:小川先生の研究用に撮影したMRI画像と
吉田先生が撮影したエコー画像を見比べたんですよね。

吉田先生:はい。2つの画像を比較することで、より立体的に
正確に安全な刺鍼深度をイメージできるようにと工夫しました。

エコーで見ると“短く”なる!?

:MRI画像とエコー画像では、深さの数値が違ったんですよね?

吉田先生:はい。エコーでは、皮膚にプローブを当てて測るので
筋肉や皮下組織が押されてしまい、MRIよりも浅く測定されました。
今回の測定では、MRIより約20%短くなる部位がありました。

:私の右の天柱から椎骨動脈までがMRIで42.0mm、エコーで33.8mmでしたね!

吉田先生:そうです!とても良い例でした。
特に、やわらかい組織が厚い場所ではこの差が大きく出るんですね。
逆に、骨の近くではあまり差が出ませんでした。

:実際に鍼を刺す時って、指で押さえながら刺すから
やっぱり似たような“圧縮”が起きる可能性もありますね。

吉田先生:まさにその通りで、
操作そのものが深さに影響することも意識する必要があります。

初めての学会発表、そして…

:吉田先生は、今回の名古屋での学術大会、初めての発表でしたね!

吉田先生:少人数の前で発表すると思っていたのですが
予想以上に多くの方が注目してくださいました。

:うれしい誤算ですね!

吉田先生:質問もたくさんいただきました。

参加者の先生方も頻繁に鍼を打つ場所だということもあり
“自分事”であるという認識が伝わってきました。

発表後も意見交換が続いて
改めて「現場とつながる研究」の大切さを実感しました。

押手と深さ、安全性との関係にも注目

:今後の研究の展望も教えてください!

吉田先生:今回の結果から
鍼を支える「押手(おしで)」の圧が刺鍼深度にどんな影響を与えるかにも
関心を持ちました。

:確かに
押手の圧で皮膚がどのくらい沈み込むかって
あまり意識されていないかもしれませんね。

吉田先生:そうなんです‼
実際、2015年の研究では「背部に1kg圧を加えると8〜13mm沈み込む
という報告もあります。

これが刺鍼深度にどう関わるか
押手の役割と安全性ついて今後さらに掘り下げていきたいと考えています。

研究班の活動に参加してみませんか?

今回の研究は
金曜日13:00~活動している「経穴認知研究班」で進めている研究活動の一環です。

実際に経穴(ツボ)に触れるための訓練をしたり
3Dモデルを観察したりと
実際に触れて学ぶことで、よりリアルに鍼灸を理解することができますよ!

📎 関連記事もぜひご覧ください!
▶️ 小川先生の研究紹介記事はこちら

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