こんにちは!鍼灸校教員の吉田です。
先日は、名古屋で行われた全日本鍼灸学会の学術大会の様子をお伝えしました。
まだ見ていない人はこちら
今回は、自律神経研究班から
「片頭痛の間欠期のQOLに対する鍼治療効果」について
発表された菊池先生に詳しくお聞きしていきます!!
発作のない「間欠期」でも悩みは続く
吉田:まずは今回の研究テーマについて、簡単に教えてください。
菊池先生:片頭痛の患者さんは、実は発作がない時期でも
「次に頭痛が来るかもしれない」
という不安を常に抱えていることがあります。
この不安のために、仕事や予定、余暇の計画まで
影響を受けることがあります。
今回の研究では、こうした発作間欠期における片頭痛患者の生活の質(QOL)に対して
鍼治療がどのような効果をもたらすのかを検討しました。

吉田:この研究に取り組まれたきっかけは何だったのでしょうか?
菊池先生:大学病院勤務時代から難治性頭痛の研究に携わっており
頭痛診療ガイドラインにも引用される論文を2本執筆しています。
現行のガイドラインでは鍼灸は難治性の頭痛に対して紹介されることが多いですが
私はむしろプライマリ・ケア領域、つまり日常診療の中でも
鍼灸の出番は多いのではと考えています。
特に月に数回の発作がある片頭痛患者さんに対しては
薬の毎日服用に抵抗を感じる方もいらっしゃいます。
そうした方々に鍼灸を提供することが臨床の中で増えてきており
その効果をきちんと研究データにまとめたいと考えました。
研究の実際は?
吉田:研究はどのように進められたのでしょうか?
菊池先生:医師から片頭痛と診断され、予防薬の提案を受けたものの
薬物治療を希望されなかった患者さんを対象に鍼治療を行いました。
治療の前後にアンケートを実施し
頭痛による支障度や間欠期のQOLを評価しました。
4週間治療を続けたところ、支障度の軽減とQOLの向上が確認できました。
吉田:準備の段階では大変だったこともあったのでは?
菊池先生:はい、過去のカルテをもとに
研究に適合する患者さんを選定する作業に時間と労力を要しました。
組み入れ基準や除外基準を慎重に確認しながらの作業でした。
学会当日の様子
吉田:学会発表当日の様子も教えてください。
菊池先生:一般演題でしたが、立ち見が出るほどの盛況で
コロナ禍以前の学会に戻ったような活気を感じました。
頭痛領域における鍼灸研究は世界的にもまだ少なく
英語文献でも片頭痛に関するものは全体の1割程度です。
日本からももっと発信していける分野だと改めて感じました!
学び続ける姿勢と今後の展望
吉田:今回の研究を通じて感じたことはありますか?
菊池先生:医学も鍼灸も日々進歩しています。
常に最新の知見を学び続ける姿勢の大切さを改めて実感しました。
吉田:今後はどのように研究を発展させていきたいとお考えですか?
菊池先生:医師が鍼灸を治療選択肢の一つとして
自信をもって患者さんに提案できるような環境を整えるために
頭痛診療ガイドラインに引用されるような論文の執筆
を目指していきたいと考えています。

メッセージ
吉田:最後に、学生にメッセージをお願いします!!
菊池先生:頭痛や自律神経に興味のある方は
ぜひ自律神経研究班のLINEグループにご参加ください。
情報収集のみでも構いませんし
実際の自律神経測定に挑戦してみたい方も歓迎です。
現在は100名を超えるメンバーが在籍しています。
意欲ある皆さんの参加をお待ちしています!
当日は座長も務められていた菊池先生
たいへんお疲れさまでした!!

菊池先生は、こうした研究活動のほか
本校附属鍼灸院にて臨床指導も行っており
鍼灸治療のご相談も受け付けています。
お身体のお悩みがある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
また、学校説明会では模擬授業も担当されていますので
この記事を読んで興味を持たれた方は
ぜひ説明会で菊池先生を探してみてください!