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全日本鍼灸学会名古屋大会

こんにちは!鍼灸校教員の吉田です。

2025年5月30日(金)〜6月1日(日)
愛知県名古屋市「ウインクあいち」にて開催された第74回 全日本鍼灸学会学術大会・名古屋大会にて
本校教員4名が研究成果を発表しました。

今回の大会テーマは、

女性のみかたⅡ-フェムテックによる女性のWell-beingに貢献する鍼灸-」。

2019年第68回愛知大会の「女性と鍼灸」をテーマとした学術的探求を引き継ぎ
新たに「フェムテック」を中心に据えた内容で開催されました。

「フェムテック」とは
女性の健康問題(月経・不妊・更年期・婦人科系疾患など)を
テクノロジーを活用した製品・サービスで支援する概念であり
これまでの医療的・薬学的アプローチを補完する手段として注目されています。
(大会会頭講演より抜粋)

女性の健康課題と東洋医学の融合に注目が集まり
全国から臨床家や研究者、学生が参加した学術大会でした。

なお、大会ポスターに登場した印象的な女性像は……

実在の人物ではなくAIによって生成された画像だそうです!

こうした表現にも伝統と先端技術の融合という今回のテーマが反映されていました。
今回はそんな学会の様子をお伝えします!!

学会の様子

会場は、学術講演、シンポジウム、ポスター発表、企業展示など
多彩なプログラムが展開され、多くの来場者でにぎわっていました。

また、研究者同士の情報交換や、学生・若手鍼灸師が積極的に質問する姿も多く見られ
未来の鍼灸界を担う世代の熱意を感じられる大会となりました。

本校からは、櫻井理事長(校長)をはじめ
東洋医学研究班から、光澤先生、東垣先生、木戸先生、武藤先生
経穴認知研究班から、小川先生、橋本先生、橘先生、吉田
自律神経研究班から、菊池先生、鈴木先生
鍼灸臨床研究班から、中野先生

が参加し
最終日には、12名全員が集合しました!

本校教員の発表内容

本学からは以下の4演題の発表を行いました。

● 一般演題(口頭発表)
◉ 菊池 友和
演題:「片頭痛の間欠期のQOLに対する鍼治療効果」
➡発作がない時期における片頭痛患者の生活の質(QOL)に対し、鍼治療がどのような効果をもたらすかを検討した研究です。

共同研究者:
・鈴木 格
・吉田 麻衣子
・山口 智(埼玉医科大学 東洋医学科)

● ポスター発表
◉ 小川 一
演題:「頚部経穴の内部の可視化及び3Dモデルの製作(第3報)」
➡後頸部の経穴を画像化・立体モデル化し、可視化により教育や臨床に応用する試みです。

共同研究者:
・橘 綾子
・菊池 友和
・五十嵐 久佳(東京クリニック脳神経内科)
・山口 智(埼玉医科大学 東洋医学科)
・土井 章男(岩手県立大学)

◉ 東垣 貴宏
演題:「脈診訓練法の開発(第26報)」
➡「脈診習得法(MAM)」を用いて、より再現性の高い脈診を目指した研究における、脈状についての報告です。

共同研究者:
・木戸 正雄
・光澤 弘
・武藤 厚子

◉ 吉田 麻衣子
演題:「エコー装置による後頭下筋の安全刺鍼深度について」
➡後頸部への刺鍼におけるリスク管理のため、エコー・MRIによって筋・血管の深さを評価した研究です。

共同研究者:
・小川 一
・橘 綾子
・橋本 隆
・土井 章男(岩手県立大学)

教員が選ぶ「印象に残った演題」

参加した先生たちは、本校教員の発表だけでなく
ほかの施設の研究発表を積極的に見て回っていました。

その時の様子を、現地参加された鈴木先生と中野先生に聞いてみました。

吉田:学術大会現地参加で特に印象に残っていることはありますか?

鈴木先生:一般演題を中心に多くの発表を見させていただき、たくさんの学びがありましたが、何より印象に残ったのは6階企業ブースの活気と人々の交流の場となっていたこと。久々に会う先生方や卒業生、昔からの友人などいろんな方々と対面で近況報告や情報共有も含めたくさん話ができて有意義な二日間となりました。

中野先生:私は「薬物療法で難渋した多形慢性痒疹に対する鍼治療の一症例」が印象的でした。痒みは痛みよりも耐え難いといわれるほどQOLを低下させますが、足三里や三陰交など、お馴染みの経穴に高頻度の鍼通電を行うことで痒感軽減とQOLの改善がみられたという報告です。今後色々と応用ができるのではと思いました。

学会は研究発表の場であると同時に
鍼灸の可能性を広げる知見に出会える貴重な機会ですね。

今後も研究成果を発信していきます

今回の学術大会には
東京有明医療大学の教員や、本校を卒業された先生方も複数演題を発表しており
学園全体として鍼灸・東洋医学の教育・臨床・研究に取り組む姿勢が
あらためて感じられる機会となりました。

本校では研究班の活動が活発で
今回のように教員が研究発表を行うだけでなく
学生が発表する機会を得ることもあります。

こうした機会を通じて
日々の授業や臨床実習の中で生まれた問いを大切にし
教育・臨床・研究が連動する鍼灸師の育成に取り組んでいます。

私自身も、学術大会を通じて得た経験や気づきを
これからの授業や実習の中で少しずつ学生に伝えていけたらと思いを新たにしました。

日々の小さな実践が、学生の理解や成長につながっていけば嬉しいです。 

Life up Journalでは今後
発表された4名の先生方へのインタビュー記事を順次掲載予定です。

研究の背景や意義、発表に向けての準備中の裏話などをお届けしますので
どうぞご期待ください!!

🔗 全日本鍼灸学会 学術大会 名古屋大会プログラム

こぼれ話:白龍神社の“おもかる石”

発表前日、宿泊先からほど近い白龍神社にお参りに行ってきました。

知る人ぞ知る! 超パワースポット‼

境内には、白いヘビの模様が刻まれた2つの「おもかる石」があり
願いごとを心に念じながら持ち上げると
軽く感じたときは願いが成就しやすいのだとか。

今回は、教員としてはじめての発表だったので
ちょっとドキドキしながら「無事に終わりますように」と願いを込めて

石をそっと持ち上げてみました。

……うん、だいたい想像通りの重さでした(笑)

それでも、おかげさまで、
地に足をつけてしっかりと発表を終えることができました。

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