こんにちは、事務局の久田です。
今回は、クラブ・研究班の中の
【自律神経研究班】の活動をご紹介します。
自律神経研究班ってなにをしている?
授業で習った手技、興味のある経穴(ツボ)、治療法などを行い、
介入前後で実際にどのような自律神経の変化があるかについて可視化する。
経絡治療(鈴木先生)・頭鍼療法(菊池)・失眠への灸(参加メンバー)
背部のあん摩術(参加メンバー)など、参加者の興味のあることについて、
仮説通りに自律神経は動いているのか確認しています。
例えば、あん摩をすると
リラックスして副交感神経が優位になって筋肉が緩みます。
本当でしょうか?
仮説に基づき検証しています。(内容は後方『あん摩をすると…』に記載します!)
その他、私が加入している日本頭痛学会や日本自律神経学会などで発表した内容を
zoomを使ってオンラインでお話しさせて頂いています。
活動日:火曜日、または 金曜日 月に2、3回 活動時間(所要時間):1〜2時間 登録人数:79名 |
自律神経が崩れると…
自律神経は内臓や血管などの働きを
24時間、休まず、
外部環境(温度やストレス、運動など)に合わせ、自動的に調整してくれるシステムで、
自律神経は「人間に本来備わっているホメオスタシス(恒常性)」が深く関わっています。
このことから、自律神経が乱れると、
冷えやのぼせの症状や、
夜になったら眠くなり、寝ている間に消化され、
朝になると活動的になるなど
ホルモンとも関係が深いことから
自律神経が乱れると、不眠症や便秘などの症状が出現します。
睡眠の時のホルモンや活動的なホルモン、幸せホルモンと、
色々なホルモンと自律神経は関係が深いんです。
あん摩をすると…
仮説に基づいて検証していると書きましたが
実際、参加メンバーでこんなことを行いました。
【仮説】
ふくらはぎにあん摩(施術)をすると、副交感神経が優位(例えば心拍数が減少)となり、
筋肉の硬さが柔らかくなる。
【方法】
施術を行い、自律神経の評価の一つである心電図で、
心拍数と交感神経と副交感神経の指標(心拍変動スペクトル解析)の測定と、
肩の筋電図で筋肉の硬さを計測する。
【結果】
局所に施術を5分間行うと、心拍数が施術を行う前と比較し減少、
さらに、副交感神経の数値が増加し、交感神経の数値は減少した。
施術を行っていない肩の筋硬度も減少した。
【考察】
施術を行うことで、ふくらはぎだけではなく、肩こりの筋の硬さも減少した。
このことは、肩の筋肉の硬さは交感神経に支配されていることから、
交感神経の抑制によるものと推測された。
さらに、心拍数の減少が認められたことは、
心拍数の減少は心臓副交感神経の活動によるものと考えられた。
本研究の限界は副交感神経が優位に成った結果交感神経が抑制されたのか、
交感神経が抑制された結果、副交感神経が優位に成ったのか、
それとも同時かについては分からないが、解剖生理学的な視点より、
副交感神経が優位になった結果から交感神経が抑制されたものと考える。
【結語】
ふくらはぎにあん摩を行うと、副交感神経が優位になった結果として、
交感神経が抑制され、筋肉の硬さが柔らかくなった。
学生たちの感想
自律神経研究班では、メンバーの主訴(頭痛など)に対して、
どのようなアプローチ(鍼、灸、マッサージ、また経穴の選定)をするか
先生とメンバー達で話し合い、そのアプローチを実施した結果、
自律神経にどのような影響が出るか数値化して検証することができます。
自分の自律神経の状態を知ることができるうえ、
臨床知識の向上にも役立つ研究班です。 【 昼本科1年 A.Kさん 】
疼痛や様々なコンディション不良に対して、
自律神経やそれに関わる情動等の側面から、
治療介入を考えられるようになりたいと思い、
研究班に参加しています。
自律神経が数値化されることで、
治療刺激による反応が可視化されることが、
非常に有意義に感じています。
研究班を通じて、生理学的な機序も深く学びたいと思っています。 【 昼本科1年 T.Sさん 】
今後の展望
鍼灸は、肩こりや腰痛などの痛みに対して用いるといったイメージが強いと感じます。
もちろん、イメージのある疾患や症状に効果があるのは、言うまでもありません。
自律神経症状(不眠や便秘、頭痛など)にも
鍼灸治療は効果が高いことを、知ってもらいたいと考えております。
その理解の手段として、
自律神経を数値化しています。
さらに、本研究班では授業で教わったことを実践し、
自分や仲間の『鍼』、『灸』、『手技』で
自律神経を変化させることができることを実感し、
自律神経症状に対して我々が、何が出来るかについて話し合い、
そして、お互いに高めあえる場所になればと考えております。
是非ご興味のある方は、お声掛けください。